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わたしたちの勝負曲

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ROZILICA編集部
ROZILICA編集部

プロボクサー・那須川天心の入場テーマは、矢沢永吉さんの「止まらないHa~Ha」ですが、那須川さんは出先で矢沢さんの曲をたまたま聴いてしまうと"スイッチ"が入ってしまうので、なるだけ聴かないよう避けているそうです。
試合に集中して、アドレナリンを出すための勝負曲にしているのだとか。

ロジリカは、音楽好きなメンバーが多いのですが好きな曲——ではなく、ズバリ「勝負曲はありますか?」と尋ねたところ、さまざまなジャンルから回答が来ました。

River/10-FEET(コンテンツライター)

初めて10-FEETを聴いたのは中学生の頃で、「自分は他の子が聞いてるようなJ-POPなんか聞かないんだぞ」といった背伸びした気持ちで地元のゲオに足を運んでいました。それで、iPod nanoに曲をインポートしてずっと聴いていて、変な曲だけどなんとなくカッコいいな〜と。

それからずっと10-FEETが好きで、なんやかんや初めてライブに行ったのが今年の4月(MOBSTYLE主催)。昔の衝撃を上回るほど感動し、すぐさま直近の10-FEETが出演予定のフェスを調べ、VIVA LA ROCK2025の最終日に参加しました。

画像実家の勉強机で勉強もせずにただ座り、有線のイヤホンをつけて無骨なiPodのスクロール音を操作して聴いていたときの思い出が合流しました。

実家というと、Riverの歌詞を改めて聴くと、母について考えさせられるんです。

 

母は泣いた手に触れ泣いた「きっと大丈夫」と一言また泣いた君は泣いた深々と泣いた「僕がついている」とまた泣いた僕は泣いたただただ泣いた気がつくと 独りで泣いていた昔行ったあの場所に行ったあのRIVER…

(River/10-FEET)

私が上京を決意し、それを反対してきた母を説得して、母の寂しさに触れてたこと。保護者だからとかそういった目線ではなく、一人の人間としての母の裸の心に触れて、それでも私を想って送り出してくれたことを思い出します。
ちょっとふざけた歌い方でも、いつでも私の思い出に寄り添ってくれる。いつ聴いても、味がしなくなることはありません。

 

ちなみに、10-FEETがRiverを演奏するとき、公演したその土地の川に歌詞を改変して歌うんですよね。音源でしか聞いたことがなかったので、初見は驚きました。現地ならではの発見です、ぜひみなさんの思い出のある街で生で聴いてほしいな。

逃げろ!!/ゆるめるモ!(ジュエリーデザイナー)

高校生のころ、私はアルバイトで貯めたお金をすべて邦楽ロックバンドのライブにつぎ込んでいました。しかし服飾に興味があった私は、大学進学を機にファッションを学ぶ道へ進み……今度は服ばかりにお金を使うようになり、ライブハウスからは次第に足が遠のいていきました。

そんな私を再びライブハウスへ引き戻したのは、アイドルのゆるめるモ!との出会いです。

ゆるめるモ!は「前向きで明るく元気いっぱい」という一般的なアイドルのイメージとは真逆。中でもあのちゃんはとびきり可愛いのに客席へダイブし、デスボイスまで響かせる…もはや“アイドル”と呼んでいいのか分からないほどロックでした。ステージで暴れ回る彼女の姿に、かつてライブハウスで見たバンドマンたちが重なり、私は一瞬で虜になりました。

とりわけ心を揺さぶられたのが「逃げろ!!」という曲です。

地獄みたい きっと
明日はもっと 私のこと わかってくれない
ならば眠る 今日は逃げる 他に出来ないよ!
『ごらん空を』 じゃなくて
聞いて! もっとわたしのこと知ってほしいよ

(逃げろ!!/ゆるめるモ!)

「頑張って、前を向いて!」と歌うのがアイドルソングだと思い込んでいた私にとって、「逃げろ!」という言葉は衝撃でした。同時に、その言葉はとても優しく感じました。気を抜くのが苦手な私に、自分のために逃げる勇気も大切だよと言ってくれてる様に感じて、この曲を聴くとふっと心が軽くなり、ちょっと休憩したらまた頑張ってみようと思わせてくれます。

My Hero/Foo Fighters(フォトグラファー)

洋楽が好きなので、Foo Fightersのことはもちろん知っていましたが、しっかりアルバムを聴き込むほどではなかった数年前。「なんとなく気になる曲タイトルだな」と何気なく聴いたのがきっかけでした。
「あ、これは好きな曲だ」と冒頭のドラミングで瞬時に分かり、その日のうちに何度も聴き込みました。
ミドルテンポでスッと歌詞が入り込んでくる感覚が心地良く、寄り添うわけでも励ますわけでもないのに、近くにいる感じがする。
こういうとき、その曲は自分にとって大切な曲になると不思議と分かるようになりました。

There goes my hero
He’s ordinary

(My Hero/Foo Fighters)

個人的に、洋楽は曲の中の「音」が好きかどうかで判断するのですが、この曲の歌詞の中にある違和感が。

ーHe’s ordinary.

曲の解釈はみんなそれぞれだと思うのですが、シンプルに捉えれば「ヒーローは普通の人である」。Heroという単語と合わなさそうな「普通」という意味の言葉。そこがとても好きです。
自分は特別な人間ではないけれど、それでも誰かのヒーローかもしれない。
そう思うと少し勇気が湧いてくる気がしました。

「自分なんか」って思っているそんな時、この曲を聴くと自然と特別ではない普通の自分を受け入れることができる。
強くなるわけでないけれど、素直に自分と向き合える曲だなと思いました。

2022年3月、長年Foo Fightersのドラマーを務めていたTaylor Hawkins氏が50歳という若さで旅立ちました。その後、彼の追悼ライブが行われて『My Hero』が演奏されたのですが、この時ドラマーを務めたのが、なんと彼の息子であるShane Hawkins氏。このライブ映像を見て、この曲をより好きになりました。
MTVの公式YouTubeにてライブ映像が公開されているので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

さらに!2025年10月、FooFightersがなんと17年ぶりに日本で単独公演を行いますので、ぜひ!
ちなみにちなみに、Foo Fightersの創設者であるVo.のDave Grohl氏はあの「Nirvana」の元ドラマーです。多才だぁ。

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60/ショパン(ブランドディレクター)

クラシックピアノの曲のなかでも最も思い入れのある曲の一つで、とくにクリスチャン・ツィメルマンの演奏する舟歌が好きです。人生で煮詰まったと感じたときに聴く曲。
もう十数年前だけど、ピアノソロリサイタルを開催したことがあって、そこで選曲したうちの一曲でもあります。

ピアノコンクールに出場した際にも弾いた曲だったのですが、予選通過し、二次予選で弾いたときのこと。あまりにもツィメルマンの演奏が好きすぎてそれに限りなく寄せて弾けるように練習していたこともあり、二次予選落選時のフィードバックでは「ツィメルマンの演奏に近いように感じたけど、ここはコンクールなので楽譜に忠実に弾きましょう」と書かれてしまったことも。

好きな箇所は2箇所あってこのあたり。

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とくに後者のほうは、ツィメルマンの演奏を聴くと必ず泣いてしまうほど心を揺さぶられてしまいます。

一昨年に妹とツィメルマンの名古屋公演に足を運んだのですが、あまりにも良すぎて、東京公演のキャンセル席が出たのですぐに予約しました。
その日、東京へ帰る新幹線でツィメルマンと奇跡的に席が前後になりました。
ツィメルマンは奥さんと、通訳さん2人と計4人で乗っており、奥さんが誕生日だったようでチキンやケーキを食べながら誕生日パーティをしていました(かわいい)。
写真は控えたのだが思わず話しかけ、「最高の演奏でした!東京公演も行きます!」と伝えたら「ありがとう」ってケーキやチキンを分け与えてくれたんです。

いまもそのときの写真をスマホのロック画面として使用していて宝になっています。

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私たちは格闘家ではないし、いつでも何かと戦い続けているわけではないけれど、社会人である以上、気持ちの切り替えを要求されるタイミングはついてまわります。

時としてそれは残酷なタイミングでやってくることもありますが、音楽は思い出とともにずっと寄り添い続けてくれるのが嬉しい。

……軽い気持ちで社内インタビューしたのだが、想像の100倍くらい個性強かった(ライター談)。

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