ふと、わたしの生活の節々にサンドイッチが顔を出していることに気付いた。
朝ごはんを食べる余裕がない日、コンビニの棚から片手で取るハムサンド。
週末のブランチにパン屋で見つけたおしゃれで豪勢なクロワッサンサンド。
旅先で、空港のベンチに座ってかじったちょっぴり固いライ麦サンド。
あまりにもわたしの日常に馴染みすぎているサンドイッチ。これはわたしにとってある種の“偏愛”なのかもしれない。
サンドイッチのいいところは、ただ挟むだけという「自由さ」だと思う。
忙しいときは、袋を開けてすぐ食べられる気軽な相棒となるが、休日のゆったりとした時間を街中のカフェで過ごすわたしの隣では、栄養を着飾った貴婦人になる。
かと思えば、気まぐれに「今日は何を挟もうか」と家でつくるときは、親近感なんかを抱いてしまう。まるで家族みたいなそんな存在。
同じサンドイッチであっても、食べる場所やシチュエーションによって、全然違う顔を見せてくれるのも面白い。
疲れている夜、なにも食べたくないけれどなんか食べたいそんなとき、コンビニで乱雑に手に取ったタマゴサンドは妙に沁みるし、ピクニックで食べるたまごサンドはなぜかわたしをワクワクさせる。
最近気付いたのは、つまりわたしはサンドイッチ自体というより、サンドイッチが映し出す日常に惹かれているのだと思う。
特別であってもなくても、週に一度は必ず食べているサンドイッチ。せっかくなので、最近食べたサンドイッチを。
食欲がないときでもつい手にとって食べたくなるいつもの味。大手三大コンビニの食べ比べをした結果、個人的好みはセブンイレブンさんのハムサンド。パンの柔らかさとハムのジューシーさ、そしてからしマヨネーズのアクセントが絶妙。
ランチ用に買ったクロワッサンサンド。生ハムの塩気、トマトの酸味、レタスの歯ごたえは相性抜群。クロワッサンにチーズをまぶしてから焼いてあるので香ばしいチーズの香りもあり、オフィスでも贅沢な気分に。クロワッサン自体もさくふわで本当に美味しかった。
気になっていた下北沢のサンドイッチのお店。ぷるふわの厚焼きオムレツにとろとろチーズ、そしてトーストされたさくさくパン。とてもとても美味しかった。通いたくなる美味しさ。BLTEやオムレツとハムのほか、鶏そぼろがとても気になった。ほろほろの豆乳スープは、やわらかい酸味とネギなど香味野菜の風味があり、味はもちろん食感も好きだった。落ち着いた空間でゆっくりまったり美味しいサンドイッチを堪能できる良いお店を発見できて良かった。
それぞれまったく別物なのに、どれも「そのときの気分」にぴったり寄り添ってくれたのが不思議だ。
驚くようなサンドイッチに出会うことも多い。
ファミチキとタマゴサンドを挟むなんて、学生時代に知りたかった。
ただ、どんなアレンジが施されても「パンに挟むだけ」というシンプルさが軸にある。だから、どんな食文化でも取り込めるし、どんなライフスタイルにも寄り添える。
いちごサンドが海外進出をしていることを見ると、サンドイッチはそのうち世界を繋ぐのではないかと思う。
カリフォルニアロールのような進化をとげた新しいサンドイッチの誕生を、密かに待っていよう。
「今日はこれでいいか」と食べるサンドイッチもあれば、「せっかくだから」と丁寧に作るサンドイッチもある。そのときどきの自分の暮らしぶりが、そのまま挟まれている気がする。
だからわたしは、これからもサンドイッチを偏愛する。